「暮らしの手帳」創業者 大橋鎭子さんがモデルの【とと姉ちゃん】放送開始

NHK連続テレビ小説「あさが来た」が終わり、4月4日から「とと姉ちゃん」がスタートしました。

今回のヒロインは、雑誌「暮しの手帖」創業者の大橋鎭子さん(日本女子大学中退)です。

ヒロイン小橋常子を演じるのは高畑充希さん。

共演者は父親役の西島秀俊、母親役の木村多江さんはじめ、唐沢寿明さん、向井理さん、大地真央さん秋野暢子さんなど錚々たる俳優陣です。

ネタバレになりますが、『暮+
+–しの手帖」とわたし
』(大橋鎭子著)を読んで、印象に残ったところを紹介します。

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女性雑誌「スタイルブック」創刊

雑誌「暮しの手帖」は大橋鎭子さんと花森安治さんとの出会いがあって出版されたのですが、実は、「暮しの手帖」を発刊する前に、「スタイルブック」が発売されています。

花森さんは、美学専攻で衣装学を学ばれていて、日本の着物はなかなかいいものだし、まず花森さん自身が考えていた直線裁ちの服を紹介しようということになりました。

モデルは大橋さんや大橋さんの妹。

服を着た大橋さん、妹さんを花森さんが写生をして絵を描き、文章を書きました。

創刊は、昭和21年の5月。

ページ数は、たったの18ページ、薄い本でした。

新聞に広告を出したところ、4、5日してから毎日、大量の書留郵便が届くようになりました。

その年の9月、11月にも2冊目、3冊目を発行しましたが、翌年には似たような雑誌が相次いで出版され、徐々に売れなくなり、最も力を入れて作った5冊目はあまり売れませんでした。

それで、新しい雑誌を作ろうということになり、昭和23年9月に、「美しい暮らしの手帖 第1号 新しい婦人雑誌」が発行されることになります。

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委託販売から始まった「暮らしの手帖」

「暮らしの手帖」第1号は、1万部刷りました。

その内、7,000部は取次店で捌けましたが、3,000部が残りました。

この3000部を本屋さんに置いてもらうために、大橋さんらが、リュックサックに本をつめて、関東中を回ります。

本屋さんに行っても、「預かるだけですよ」ということで、置いてくるだけで買ってはくれません。

関東中の本屋さんに置いてもらったものの、売れた雑誌の代金を回収しに行かないといけません。

こんな本屋さんがあったそうです。

一ヶ月後に行っても、「一冊も売れてないから払えない」との一言。

「それでは、置いていった5冊を返してください」というと、

「どこにいったか分からない」との返事。

仕方なく、店内を探したら、ガラスケースの中に3冊あるのを見つけ、「2冊売れたようですから代金を」と言っても、「そんなもの売れてない。2冊は万引きだ」と言われ、その本屋さんでは回収ができませんでした。

翌年の1月に2号、4月に3号と発行しましたが、販売は芳しくなく、早くも3号で倒産かという事態になりました。

その後、幸運にも、興銀から20万円(現在の2,000万円)の融資が受けられるようになり、何とか廃刊することなく、「暮らしの手帖」の発行を続けられるようになりました。

「暮らしの手帖」5号の編集者の手帖より

「暮らしの手帖」5号の編集者の手帖に、当時の大変な様子が書かれています。

文末の署名に、(S)の文字がありますので、大橋鎭子さんの鎭子のイニシャルでしょう。

あとがき

やっとここまで来ました。初めて、この雑誌を出してから、やっと一年たちました。雑誌のいのちから言って、一年は短いものでしょうけれど、私たちには、苦しい長い一年でございました。

 

いまどき、そんな雑誌を出せば、三号も経たぬ中に、つぶれてしまうと言われました。真面目すぎて売れないだろうとも言われました。止めたほうがいいとみなさんが言って下さるのを、振り切るようにして、第一号を出し、第二号を出しました。兄弟の反対を押し切って結婚する、そんな気持ちと申しましょうか。ただ一すじに私たちの心の中の、強いものを信じる思いでございました。

 

第一号は赤字でした。第二号も赤字でした。今だから申せるのですが、そのために昨年の暮は、正直に申して生まれて初めて、私たち、お餅をつくことも出来ませんでした。どうぞ、つぶれないでください、というお手紙を、あんなに毎日いただくのでなかったら、どんなに私たちが意地を張っても、やはり第三号は出せなかったでしょう。

 

それが、何とかここまで来ることが出来たのです。ここまで来て、やっと少し先がひらけて来たような気がするのです。お礼を申上げねばなりません。この雑誌を読んで下さる方のおかげでございます。書いて下さる諸先生のおかげ、売ってくださる本屋さんのおかげ、印刷所の方のおかげでございます。こころから、お礼を申し上げます。

この編集者の手帖は、『暮しの手帖」とわたし』(大橋鎭子著)の巻末に付録として掲載されています。

当時の読者の方に向かって書かれている内容は、非常に興味深いものがあります。

大橋鎭子さん、花森安治さんたちの真摯に本を作っていく情熱というものを感じます。

別の号の編集者の手帖には、読者からの「商品テストはいくらかかるんですか」との質問に対して、実際にかかった費用なども公開されています。

電気ミシンの商品テスト

電機ミシンのテスト費

  • ミシン購入費 1,012,500円
  • 布地代 266,631円
  • 糸代 83,034円
  • 協力グループ謝礼 928,600円
  • 外部委託試験料 202,400円
  • 雑費 137,744円

合計 2,630,909円

この商品テストは、昭和39年頃に行われたものです。

1つの商品テストをするのに、263万円もかけていたのですね。(国鉄初乗り運賃 20円)

当時の「暮らしの手帖」の販売価格は190円です。

このミシン購入費は、国産ミシン34台の他に英国製ミシン1台分も含まれています。

協力グループ謝礼というのは、ミシンのランニングテストで毎日一定の条件で布を1万メートル縫うのですが、編集員だけでは到底できないので、外部の方にお願いした時の謝礼です。

この時の協力者は、延べ千三百六十六名だったそうです。

当時は、メーカーでさへ、こんな耐久テストをしていませんでしたが、「暮らしの手帖」は経費をかけて行っていました。

「暮らしの手帖」第74号の編集者の手帖の文末は、このような文章で締めくくられています。

あるメーカーの幹部は、われわれも、ほんとはこれぐらいのことはしないといかんのでしょうがねえ、それがどうも・・・というのです。いったい、メーカーは、じぶんたちの作ったものを、どんなふうに考えているのでしょうか。おそろしくなりました。(S)

 大橋鎭子と花森安治 美しき日本人 (PHP文庫)

 【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし (NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ 大橋鎭子の本)

 しずこさん 「暮しの手帖」を創った大橋鎭子 (暮しの手帖 別冊)

編集後記

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