
場所は、アメリカの名門大学の一室。
そこに、脳卒中リハビリの分野で最も権威のある医師がいらっしゃいます。
その方が、脳卒中のリハビリの効果を高める、メキメキ回復する、ある方法を見つけました。
そのある方法は、費用がほとんどかかりません。医師、看護師、家族にも出来る方法です。
その画期的な方法とは・・・・・。
アメリカ・日本・ドイツなどの7か国の共同の大規模研究
2010年に、アメリカ、日本、ドイツ、韓国など7か国が共同で行った大規模研究の結果が発表されました。それは驚くべきものでした。
携わった研究者でさへ、データに誤りがあるのではないかと疑うほどの、すばらしい結果だったのです。
それは、あることをするだけで、25%も改善する方法でした。
費用もかからない方法です。
それまでにも、25%改善する方法がありましたが、それは費用が、1,300万ドル(約10億円)かけての改善だったのです。
アメリカ国立研究所が中心となった、その大プロジェクトは、脳卒中の後遺症で歩けなくなった患者さんが、最新のリハビリ器具を使用して、どれくらい改善したかを調べるプロジェクトでした。
そのリハビリ器具は、患者さんの体をベルトで吊るし、ランニングマシンの上を歩いてもらうというものでした。
手足が麻痺していて一人では歩けなくても、この器具の使用により、それまでより25%歩くスピードが速くなったのです。
しかし、約10億円かかりました。
ところが、ある方法では、実質ゼロ円です。何ということでしょう。
その方法とは、
「ほめること」
ただ、それだけだったのです。
これが、7か国が共同で行った大規模研究の結果です。
ほめるだけで、脳はメキメキ回復し、驚異的に歩けるようになったのです。
「ほめられたから、やる気が出て、良くなった」ということでなく、周りの方から、ほめられることで、私たちが考えている以上に、脳にいい影響を与えるメカニズムがあるのです。
効果を高めるほめ方とは
では、どういうほめ方が、脳によい影響を与えるほめ方なのでしょう。
以前の記事(脳卒中リハビリ 最新研究で見えてきた脳の回復メカニズム)で、脳卒中直後の脳は若返る、との考えをご紹介しました。
脳卒中が起きた直後は、今まで使われていた神経ネットワークが壊れたので、神経細胞が活性化し、新たな神経ネットワークが再構築される時です。
このボーナス時期に、上手にほめてあげて、望ましい方向に進めさせていくことが、本当に大切です。
例えば、10メートルの距離を歩いてもらうリハビリだったとしましょう。
患者さんが10メートル歩行した後に、スタッフが、「お疲れ様でした」とだけ言ったとしたら、患者さんは、軽く会釈して、「お疲れ様でした。ありがとうございました」と応えるだけでしょう。
もし、患者さんをほめるとしたら、こうです。
患者さんが10メートル歩行した後に、スタッフが(歩行の時間を測って)、「よくできました! 今日は〇秒でした」とほめる。
もし、結果が昨日より少しでも速くなっていたら、「昨日より3秒、速くなっていますよ、凄いですね」と更にほめる。
もし記録が遅くなってたりしても、「ちゃんと維持できていますよ」「すぐにもっと速く歩けるようになりますよ」と声をかける。
毎日毎日のはげまし、声がけをすることで、どんどんよくなっていくのでしょう。
相手は機械ではないのです。相手がよくなってもらいたいという気持ちで、頑張っている気持ちをほめる、頑張っている行動をほめてあげる、
この行為が、10億円のリハビリ器具に匹敵する方法なのです。
ただし、ほめるにもコツがあります。
専門家がすすめる「上手にほめる」 ポイントは、
1、「具体的」にほめる
前回よりどれくらい改善したか、具体的にほめることが大切。
2、「すかさず」ほめる
リハビリのあと、すぐにほめると効果的。
3、目標は「低く」
目標を達成できたら、すかさずほめる。
身近な方で、リハビリ中の方がいらっしゃたら、具体的に、すかさずほめて、脳をメキメキ回復するお手伝いをしていきましょう。
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