
もともと、血圧は120/70mmHgで、高血圧であると指摘されることもなかったAさんが、血圧が高いので診察して欲しいと、あるクリニックに来院されました。
会社の検診で血圧が高いと言われて、降圧剤を服用しているけれども、血圧が思うように下がらないとのこと。
Aさんから今までの病歴などを問診しているうちに、そのクリニックの医師は思わず口に出しました。
「ははんっ」(多分これに違いないと、当たりをつけたのです)
肝臓の薬が血圧を上げていた!
医師がA、さんから聞いた話は、慢性B型肝炎の治療のために、半年前からグリチルリチンという薬を服用しているということでした。
グリチルリチンは肝臓に効果があると聞き、それだけでは足りず、別の医師にもかかり、グリチルリチンの注射もしてもらっていたそうなんです。
グリチルリチンの主成分は漢方生薬の甘草なのですが、肝臓の働きを高める効能はあるものの、カリウムを排出してしまう作用もあります。
「ははんっ」と思わず口に出した医師は、グリチルリチンの服用と注射の話を聞き、「コレが犯人だ!」と当たりをつけたのです。
カリウムはナトリウムと合体して、体外にナトリウムを排出する働きがあります。
そのカリウムの量が減ってしまうのですから、ナトリウムは排出されずに体内に貯まります。
ナトリウムは血圧を上げる作用があるので、Aさんの血圧は上がる一方となったのでした。
グリチルリチンを服用し始めた時期と、血圧が上がった時期とが一致していたと聞いた医師は、グリチルリチンの服用を中止するようアドバイスをしました。
グリチルリチンの服用を中止して2週間後、Aさんの血圧は、もとの120/70mmHgに戻りました。
中国製のやせるお茶が血圧を上げていた!
Bさんも会社の検診で血圧が高いと指摘されクリニックに受診に来られました。
血圧は150/100mmHgと高い数値でした。でもBさんは、それまで低血圧だったそうです。2ヶ月で低血圧から高血圧に変わったということなので、2ヶ月前と今で、変わったことはないかと考えてもらいました。
それで分かったことは、中国製のやせるお茶を飲みだしたことでした。
中国茶の内容を確認したところ、カリウムを尿とともに排出する成分が含まれていました。
カリウムが排出されてしまうと、ナトリウムが体内に残り、血圧を上げてしまいます。
Aさんの場合と同じく、知らず知らず血圧を上げるものを摂取していたことが高血圧の原因だったのです。
Bさんも、中国茶を飲むのをやめたら、血圧がもとに戻ったことは言うまでもありません。
薬や中国茶が原因で血圧が上がったのであれば、原因がはっきりしているので解決は早いです。
まとめ
AさんもBさんも、自分が服用していた薬や中国茶が高血圧の原因であることが分かって、よかったのですが、そういうことが分からずに降圧剤を服用している方は意外と多いかもしれません。
クリニックで受診する時は、既往歴や服用歴、生活での変化などを医師にしっかりと伝えましょう。
薬や健康食品だけでなく、水分を取り過ぎて血液の量が多くなり血圧が上がる方もいます。
そして、血圧を下げるために利尿剤を服用して血圧を下げる。
この繰り返しでは、ずーっと降圧剤を飲み続けることになります。
参考文献:『血圧革命』(高沢謙二著・講談社+α文庫)
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