
東京学芸大学附属世田谷小学校の沼田晶弘先生のことを調べていくと、子どもたちに対する思い、自由な発想はどこからくるのか、また、沼田先生の理想の教師像はどのようなものか等考えさせられることが多いです。
私は教育者でも何でもなく、一介の元製薬会社営業マンにすぎませんが、沼田先生から学んだことを書きたいと思います。
沼田晶弘先生の授業風景とは?
例えば、小学校の2年生で習う算数の九九。
子どもたちは「九九シート」を使って、九九を覚えて、友だち同士や先生にチェックしてもらうのが一般的です。
ところが、沼田先生は、クラスの児童全員一人ひとりがどの段まで覚えたかを何百回と聞かないといけません。
そこで考えたのが、新しい称号の授与です。
『U2』(ユーツー)。サッカーのUnder 21とかUnder 23から来ています。
なんかカッコイーです。 掛け算シートを何千枚と大量印刷して配り、自自由に勉強しなさい、と。
そして、「暗唱するのに2分切ったら、年賀状にU2って書いていい」と、U2の称号を与えます。
『Under 2Minute (2分以内)』 沼田先生は何もしなくても、子どもたちは、カッコイイ称号が欲しくて必死に勉強します。
沼田先生が、クラスの児童のお母さんと面談した時、お母さんから、こんなことを言われます。
「先生どうしましょう、うちの子は帰って掛け算ばかり狂ったようにやってるんですよ」
「狂ったように」という表現が面白いですね。
お母さんは、本当にそう感じたのでしょう。
「面倒くさい」「覚えるのは好きじゃない」と思ってしまうことでも、一つの称号だけで、こんなにも変わってしまうのですね。
また、日直のことを、キャプテンという名前にしています。
キャプテンは、『C』というキャプテンマークの腕章をすることになっています。
先生も子どもたちも楽しんでいることが、これらのことから想像できます。
沼田晶弘先生、世田谷小学校関係の本があります。
詳しくはこちらをご覧ください。
きく かたる かかわりあう 子どもたち (学び続けるシリーズ)
大学生の理想の教師像とは
話は変わりますが・・・ 岡山大学で、教育学部に在籍する学生を対象にアンケートを取りました。
岡山県教育委員会が設定した教員像20項目を作成し、自分が重要と思う教師の資質の評価を調べるものです。
評価の順位をより正確にするため、ダイヤモンドランキングの評価も併せて調査しました。
詳しくは ⇒ 理想の教師像についての調査研究(1)
理想の教師像のダイヤモンドランキングは次の通りです。
順位 | 理想の教師像 |
---|---|
1 | 子どもとのコミュニケーションを上手にとることができる先生 |
2 | 子どもの日々の変化に気づくことができる先生 |
3 | 子どもの人格を尊重する先生 |
4 | 子どもの成長に喜びを感じる先生 |
5 | 教職員と協力することができる先生 |
6 | 保護者と連携することができる先生 |
7 | わかりやすい授業をする先生 |
8 | 教育にかかわる信念を持っている先生 |
9 | だれからでも学ぼうとする謙虚さをもつ先生 |
10 | 教材や指導法の研究など自ら学ぶ意欲をもった先生 |
11 | クラスをまとめることができる先生 |
12 | 教職員と積極的に意見交換をする先生 |
13 | 授業に全力で取り組む先生 |
14 | だれに対しても笑顔で明るくかかわる先生 |
15 | 地域と連携することができる先生 |
16 | 社会の変化にともなう教育課題に対応できる先生 |
17 | 豊かな教養を備えた先生 |
18 | 礼儀正しい先生 |
19 | 学校のきまりなどをきちんと守らせる先生 |
20 | 魅力的な学級・学年・学校行事を計画することができる先生 |
調査対象の学生の教職の志望校は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、養護学校等様々です。
志望校によって求められる資質は違うのでしょうが、1位から4位までが、「子ども」が主語になっているのが目立ちます。
また、1位から4位まで、まさに沼田先生そのもののような気がします。
アメリカでチームビルディングやコーチングに学んできたから、このような「すごい授業」ができるようになったというより、子どもたちに対する熱い思いがあることと、もう1つは、MC型教師を目指すキッカケとなった天才芸人明石家さんまさんの影響であると、私は勝手に結論付けております。
思いが伝えるには何が大切か
「すごい授業」の内容を知れば知るほど、沼田先生の子どもたちに対する熱い思い、 「成長して欲しい!」「いいところを見つけたい!」「いいところを伸ばしてあげたい!」 気持ちが、ストレートに子どもたちに伝わっていると感じます。
「思いを伝える」ということに関して、スピーチコンサルタントの西任暁子(にしとあきこ)さんから教えていただいたことを 思い出しましたので、ご紹介したいと思います。
西任さんが主催するスピーチセミナー(東京)での出来事です。
四国の愛媛県から参加された幼稚園の園長先生がスピーチをされました。 シチュエーションの設定は、幼稚園の保護者説明会。
これから自分の子供をこの幼稚園に通わせたいと考える保護者の方に、映像で園児の様子を見てもらい、 その後、園長先生から幼稚園の方針や理念を説明するというスピーチです。
「保護者の皆様。先ほど、園児たちが全員跳び箱を飛べる姿をご覧になって、きっと驚かれたと思います。うちの幼稚園では・・・(教育方針の説明が続く)」
このスピーチ全体の内容を一言で言うと、「園児全員が跳び箱飛べるなんてすごいでしょ!」 ということだったのですが、西任さんには、その思いが全く伝わってきませんでした。
なぜ伝わってこないのか。
西任さんは思いました。 園長先生は、本当にすごいと思ってないからだ。
思っていないことを話されてたので、伝わってこなかったのです。
西任さんは園長先生に理由を尋ねます。 すると、こんな返事が。
「実は、うちの幼稚園では当たり前に全員が飛べちゃうんで、もう、すごいと思わなくなっちゃったんですよね」 「いいこと?そんなの言わなくていいですから!!!」
園長先生っぽいことを言わなくちゃいけない。
教育者っぽいことを言わなくちゃいけない。
リーダーっぽいことを言わなくちゃいけない。
その結果、思っていないことを話してしまうのですね。
実は、結構よくあることです、私たちも。
でも、本音じゃないと伝わらないのですね、当たり前ですが。
「え?でも本音を話したら、受け入れてもらえないかもしれなくて不安です・・・」
西任さんは、こう言います。
「だから、技術なのです。技術を用いて、本当に思っていることをどうすれば相手に受け取ってもらえるのかを考えるわけです」
そして、西任さんは、こんな風にスピーチしたらどうでしょう、と提案されました。
「みなさん、先ほどの園児の様子をご覧いただいて、どう感じられましたか?初めて全員が飛んでいるあの姿を見るとみなさん本当に驚き、そして感動されます。 でも、実は私、全然感動しないんです。 なぜなら、うちの幼稚園ではもう何年も飛べない園児は一人もいないからです。全員が飛べるんです。(ここで笑顔)それはもしかしたら、教えている私たちが「みんな飛べて当たり前」と思っているからかもしれません。 たとえば、子供が歩けるようになるのは当たり前とみなさん思われているでしょう。 そして、子供は歩けるようになる。 でももし大人が、「うちの子供は歩けないかもしれない・・・」 と思っていたら、どうでしょう?もしかしたら歩けない子供だって出てくるのかもしれません。 私達大人が何を当たり前だと思うか。そんなことが子供たちにとっての当たり前を無意識のうちに作っているのだと私は思っています・・・」
西任さんは、本当に思っていることを技術を使って話すスピーチの一例として、園長先生に教えてられました。
『「ひらがな」で話す技術』(サンマーク出版)
『話すより10倍ラク! 聞く会話術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
少々長くなりましたが、私がお伝えしたかったことは、私は学校の先生だから、とか立場で物事を考えたり、立場があるので、本当に思っていないことを、さも思っているように話すのではなく、自分に正直に生きることの大切さです。
子どもは、先生の心の中まで見抜いているのかもしれません。
ただ、本音を話しても、心が真っ黒ではどうしようもありませんので、コツコツと心を磨かなくちゃいけません。
沼田先生からは、他にも様々なことを学べると思います。 今後も、マスコミに登場してくると思いますので、沼田晶弘先生の名前は憶えておきましょう!
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