
介護施設で働いている知人から聞いた話です。
「最近気づいたのですが、認知症の方は歯磨きが嫌いな人が多いんですよ」
この話を聞いた後、ネットで検索したら、確かに認知症の方が歯磨きをしたがらないので家族の方が困っていますとの記事や、どうしたらいいかとの質問が多くありました。
歯磨きの仕方を忘れたからとか、上手にうがいができないなどが理由なのしょうか。
認知症が先か歯磨き嫌いが先か
鶏が先か卵が先か、ではありませんが、認知症と歯磨き嫌いは、どちらが先なのでしょう。
在宅認知症者の生活障害と行動・心理症状に応じたケアガイドを読んでみると、認知症の方の
排便・排尿・手洗い・歯磨き・食事・ 飲む・着衣・履物をはく・脱衣・入浴・移乗・ 仰臥位になる・髭をそる・義歯の洗浄・薬の管理などの生活の様々な障害(1人でできない)の一つが、歯磨きなのでしょう。
認知症になったから歯磨き嫌いになった、と言えそうです。
ですから、認知症が先で歯磨き嫌いが後になります。
ですけれども、歯のことを色々調べていくと、歯磨き嫌いが先で認知症が後、つまり歯の残存本数が減ったり、歯周病になることで認知症がすすむという事例があることも分かってきました。
歯の本数と認知症は関係があるのか
歯は単に食べ物を咀嚼するための道具と考えられてきましたが、歯は全身の様々な病気と関係があるようで、歯の噛み合わせをよくすることで、数十年苦しんでいた肩痛、腰痛が改善したとの事例も多くあります。
詳しくは、
⇒ 手足のしびれ・首痛・肩痛の原因は歯の噛み合わせかも!(歯の話1)
⇒ 歯の8020運動!歯がたくさん残ってる人はセクシー!?(歯の話2)
⇒ 背中が歪んでる!歯のかみ合わせが悪いと全身の不調につながる原因に!(歯の話5)
をご覧ください。
マウスの実験で、次のようなことが明らかになりました。
歯周病で認知症悪化、原因タンパク質が増加(2013年6月)
名古屋市立大大学院の道川誠教授(生化学)らの研究チームが、歯周病が認知症の一種、アルツハイマー病を悪化させることをマウスの実験で明らかにし、日本歯周病学会で発表した。
研究チームは、人工的にアルツハイマー病に罹患(りかん)させたマウスを用意。2グループに分けて、一方だけを歯周病菌に感染させた。
これらのマウスを箱に入れて球や三角錐(さんかくすい)の物体を2つ見せた後、うち1つを置き換えて反応を調べると、歯周病のないマウスは新しく置いた物体へ頻繁に近づくが、歯周病を併発したマウスは反応が変わらなかった。道川教授によると、認知機能が低下し、最初に見た物体の形を忘れているため、新しい物体に興味を示さなかったという。
道川教授は「歯周病治療で、認知症の進行を遅らせられる可能性が出てきた」としている。(産経ニュース)
ある調査では、70歳後半の健康な方の歯の残存本数は平均9本だったのに対し、脳血管型認知症患者の歯の残存本数は平均6本、アルツハイマー型認知症患者の歯の残存本数は平均3本でした。
頭部のCT撮影画像を調べてみると、歯の残存本数が少ないほど脳の委縮が進んでいたようです。
また厚生労働省の研究班が、愛知県に住む65歳以上の健康な方、4425人の歯の状態を調べた上で、その後の4年間に認知症を発症したかどうかを調べました。
結果は、
「歯がほとんどなく、入れ歯も使っていない人」は、「自分の歯が20本以上ある人」に対して
認知症になるリスクが1.9倍でした。
「歯がほとんどなく、入れ歯を使っている人」はリスクが少し低く1.2倍でした。
「歯の残存本数・噛む事」と「認知症」の関係はあるようです。
このような調査・研究から、歯磨き嫌いにより歯が無くなって、認知症が進むこともあるし、認知症になることで、歯磨きができなくなると言えそうです。
どうやら認知症予防の一つは、口腔ケアをしっかりやることのようですね。
歯の大切さを確認するには、当ブログの(歯の話 その1)からお読みください。
新しい発見があるかもしれません。
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