
以前読んだ、管理栄養士の幕内秀夫先生の本の冒頭に、こんなことが書いてありました。
肥満気味の女性の患者さんに食事指導をされている時、その患者さんから質問されます。
「痩せるには、何を食べたらいいですか?」
幕内先生は、それを聞いてひとこと。「まだ食べるんですか?」
生活習慣というより運動不足?
「痩せるには、何を食べたらいいですか?」という質問は、患者さん自身、おかしな質問だとは思っていなかったと思います。
痩せるにはバナナが良いとか、りんごが良いとか、そんなアドバイスが欲しかったのでしょう。
幕内先生は、その質問に驚かれて、「これ以上、まだ食べるんですか?」と思わず口に出されました。
でも、このケースと同じようなことを考えていたり、実行していたりすることは多いのでは。
様々な病気を治していくために、まず薬有りきで、悪い生活習慣を見直すことは後回し。
病気になった原因を考えるより、医師が治してくれる、薬が治してくれると思いがちです。
飲み過ぎ、食べ過ぎ、睡眠不足、飲酒、喫煙等の生活習慣をまず改めるべきですが、運動不足は、悪い生活習慣の一つということではなく、もっと強調すべきものだと思います。
「あなたの病気は、悪い生活習慣が招いた生活習慣病であり、運動不足病なのですよ」と。
上に掲げたグラフは、肥満度と体力レベルが、糖尿病、心臓病、脳卒中などの生活習慣病の死亡率にあたえる影響を示したものです。
アメリカのブレア博士が、約14,000人の男女を8年以上追跡して調査をされ、国際的に権威のある医学研究雑誌「JAMA」に、その論文が掲載されました。
肥満度小、肥満度中、肥満度大は、それぞれ次のように区分されています。
肥満度小 BMI 20未満
肥満度中 BMI 20以上 25未満
肥満度大 BMI 25以上
BMIとは、ボディ・マス・インデックスの略で、ボディマス指数、肥満度のこと。
計算式は
BMI=体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)
となります。
体重が75キロ、身長が165センチの方は。
BMI=75÷1.65÷1.65で、BMIは、27.5となります。
BMIの計算式は世界共通であるが、肥満の判定基準は国により異なる。世界保健機関(WHO)や米国国立衛生研究所(NIH)や英国国民保健サービス(NHS)では、BMI:25以上を「過体重 (overweight)」、30以上を「肥満 (obese)」としている。ドイツ、フランス、イタリアも同様である(Wikipediaの他言語版による)。日本肥満学会では、BMI:22の場合を標準体重としており、25以上の場合を肥満、18.5未満である場合を低体重としている。
ブレア博士の調査で分かったことは、男女とも肥満度が高くて運動不足のグループは、ガン、心臓病、脳卒中、糖尿病で亡くなった方が多いことです。
肥満度が低くて運動をよくする人が1万人のうち年間20人死亡するのに対し、肥満度が高くて運動しない人は、1万人のうち155人も死亡します。7倍以上です。
この死亡数には、自殺や交通事故死のは入っておりません。
肥満かどうか、運動をするか、しないかでこれだけの違いがあります。
最近の研究では、体力の低下や生活習慣病の発症は、加齢だけではなく
運動不足によって引き起こされる各種生理機能の低下にも関係している
ことが分かってきました。クラウス博士は、「運動不足病」という病名を唱えています。
厚生労働省の調査でも、80%の人々が運動不足との自覚をもっておられます。
ラットの実験ですが、「メタボリアン改造計画」(森谷敏夫著・NHK出版)に
運動不足と肥満の関係が掲載されています。
アメリカのマイヤー博士たちの、古典的な研究を紹介しましょう。
ラットを用いて、1日の運動量と自由に食べられるエサの消費量の関係を調べたものです。
ラットを1日中、ちいさなケージに入れておくと、運動をほとんどしません。しかし、食べることは忘れません。
次に30分ほどラットに運動させて、食べる量を観察してみます。すると、まったく運動しなかったラットよりも、少ない量しか食べなかったのです。運動量を1時間にしても、同様の結果でした。
もっともっと運動させると、運動した時間に比例してエサを食べるようになりますが、実はこれ、運動量に合わせて必要なカロリーを取るようになるので、体重は変化しません。
この実験で分かったことは、エサが自由に食べられる環境下で、運動をまったくしなかったラットが最も体重が増えたことです。要するに、運動不足だと必要以上にカロリーを取ってしまう傾向があるということでした。
気になりませんか? 「エサが自由に食べられる環境下」
私たちの今の環境そのものではないでしょうか。
24時間365日、いつでもどこでも、どれだけでも食べられる環境です。
コンビニ、24時間スーパー。自宅には大きな冷蔵庫。ピザの宅配もあります。
しかも、食べ物が黙っているのではありません。テレビでしゃべってくれて、美味しいよと囁いてくれます。よほど強い意志を持っていないと、食べる誘惑には勝てません。
昔は、夜お腹が空いても、お店が開いてなかったから、自分の意思ではなく、我慢できたのです。
「運動不足だと必要以上にカロリーを取ってしまう」
運動不足だから、食べ過ぎてしまうのですね。
ラットだけではなくて、人間にも当てはまっているのだとしたら、これは、もう運動を続けるしかないですね。
ジョギング、ウォーキング、ストレッチ、ソフトボールなど普段体を動かしている方はいいですが、何もされていない方は車に乗るより、歩く機会を増やす、自転車に乗る等工夫していきましょう。
腰痛で運動が難しい人にあった運動もあります。
私は田中宏暁先生のスロージョギングを始めました。
まずは、ニートを増やして痩せちゃいましょう!
運動をされているかたは是非続けてください。
これからという方は、まずニートを増やしてみませんか。
ニートとは無職の若者のことでは、もちろんありません。
ニートは「NEAT(Non Exercise Activity Thermogenesis)」のことで、日本語では、「非運動性熱産生」といいます。
日常生活の中で、エネルギーを消費する運動以外の身体運動のことです。
具体的には、顔を洗う、掃除をする、食器を洗う、選択をする、買い物にでかける、など日常生活のすべての行動のことです。
実はこのニートが、1日の消費カロリーの40%になることが分かっています。
肥満研究の権威 京都大学の森谷敏夫教授は、 たけしのニッポンのミカタに出演されたときに、ニートを増やす方法として、次の3点をあげられました。
◆ニートを増やす3か条
1 くつろぐ時は身体を起こす
2 立って出来ることは立ってやる
3 よく使うものは手元に置かない
テレビを観るのも、寝転んで観るのではなく、座ってみる。
これだけでも、消費カロリーは3割も違ってきます。
(ゴロ寝で1日3時間テレビを観る人の場合)
座ってやっていたことを立ってするだけで、消費カロリー2割りアップ。
(化粧、歯磨き、電話を座ってしていた人の場合)
テレビのリモコン手元にではなく、遠い所に置くなど工夫すると消費カロリーは増えます。
外出時も、エスカレーターではなく、階段を使う、電車の中では座らない、など、ニートを増やしていくことによって、かなり増えていきます。
モニターの女性の消費カロリーを調べたところ、ニートが増えたことで、 73.5キロカロリー増加しました。
この数字は、脂肪に換算すると 10.5gになり、年間3.8kgにもなります。
他にも、森谷敏夫先生が考えられたニートを増やすための10ヶ条があります。
1 目指せ1日1万歩(これで300kcalの消費)
2 買い物は歩いてカートは使用せず
3 ゴロ寝、昼寝は肥満の大敵
4 楽しい仲間(友人、家族、ペットなど)と一緒に運動
5 週末は運動不足になりがち。弁当持参で野外を散歩
6 歩数計は多くの教えをくれる心強いトレーナー
7 無駄に動いて無駄肉をなくそう
8 動きは大きく、全身で。流れる汗とともに脂肪分解
9 もう一歩、もう一段の積み重ねがダイエット
10「あと1000歩」を目指し、一駅手前で途中下車
森谷敏夫教授は、駅の階段を目にすると、合掌する思いで登っていくそうです。
「ありがとうございます」と。
いつでも、どこでも、いくらでも食べられるこの環境、せめて、こうした非運動性熱産生を増やしていきましょう。
すぐにでも痩せたい方は運動を
すぐにでも痩せるには、一人でダイエットをするのではなく、続けやすい環境をととのえることも大切でしょう。
TV・各種メディアで話題の新商品【SIXPAD(シックスパッド)】を使ってみるのも、ダイエットする気持ちを持たせてくれます。
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